Audiophysic Joachim Gerhard interview




 オーディオフィジックの設立者、Joachim Gerhardはアマチュアスピーカービルダーからスタートした。基本的には独学でスピーカー作りを学んだという。その熱いマインドの伺えるインタヴュー



 「スピーカー作りは、技術と芸術(art)とが相互に関連したものであり、そのために必要な真の知識は学校ではなく独学によって得た。現代型スピーカーについては、まだまだ問題が非常に多い。理論に対しては懐疑的である。私はアマチュアが行うように自分で実験をして、新しいものを作っていきたい。
 今のオーディオ業界の傾向について。耳あたりがよいがexcitingでない平凡な製品が蔓延している。古い時代の製品はゴミのようなものもたくさんあったが、個性的で心に訴えかける本当に素晴らしいものもあった。Klipschornや、Quad、JBLの一部のものがそうであった。現在では、f特がフラットな2wayスピーカーを作ることはわけないことである。しかし、新しい物を生み出そうとする情熱が欠けている。
 MlssaやClioなどのソフトウェアが市場に出回ったことで、人々の関心はf特に向かった。そのかわりに歪みを観察することを忘れてしまった。しかし、スピーカーの音と、その歪みとの関係は驚くほど密接である。我々は現在、multitoneという30個ほどの音が混合された、より音楽に近いと思われる信号を使ってテストをしている。
 新しいスピーカーユニットについてはあらゆる実験を行っている。プラズマツイーター、ピエゾ型、静電型など。スキャンスピークや、ヴィーファ、セアズのような優れたメーカーもあるが、しかし、オーディオ産業は全体として平凡極まる方向に向かっている。
 現代型のドライバーと比較しても、古い時代の紙コーンのウーハーは優れている。我々は必ずしも進歩しているわけではない。ここ最近のドライバーはf特をフラットにするためにダンピング材を増やしている。さらに振動板を重くし、内部損失の大きいエッジを使う。結果、素晴らしいf特になっているが、退屈な音になってしまっている。それに比較して以前のタイプは、共振があるかわりに反応が速いものだった。
 現代型に比較して古いものは、Qmsが非常に高かった。Qmsが高いドライバーほど、開放的で、クリーンでダイナミックな音になる。これは、我々の無数の秘密の一つだ!(なお、QmsはT/Sパラメータの一つ。機械系のQ)。
 ツイーターのクロスについて。一般にツイーターのクロスは高すぎると思う。伝統的な理論ではツイーターのfoを避けるべきだといわれてきた。他方、ティール氏は、foでクロスさせるべきだという非常に興味深い案を提唱した。もちろんこのような低いクロスで使うためには、レンジが広く、直線性のよいツイーターでなければならない。
 Calderaでは9700ではなく9500を選択した(音質上の理由から)。ソフトドームは、コーティングを人が行うか機械が行うかで音が異なる。私はスキャンスピークの技術には大変満足している。また、セアズのマグネシウムコーンのドライバーにも大いに興味がある。共振はあるがネットワークで抑え込むことかできる。共振を取り除いたこのドライバーの音は、かつて私が聞いたなかで最も優れたものであった。共振を取り除いた5インチマグネシウムドライバーの音は、水や風を思わせる音だった。
 f特フラットには固執していない。f特をフラットにしようとすると、ネットワーク素子が増加してしまう。f特を±0.5dB以下にまで揃えたものと±2dBに揃えたものとを比較したことがあるが、前者のほうがわずかに優れているものの、±2dBで十分に満足できるものだった。f特より、time domain behaviorや歪みのほうが重要である。」

 次は自作派好みの話題ではなく、セッティングに関する話。

 (説明)
 Gerhardは、スピーカーのセッティングについて、一次反射をできるだけ避けるべきだという。一般には部屋の3分の1の場所に設置すべきとされるが、Gerhardは、部屋の中央にスピーカーをセッティングすべきだという。

 「スピーカーの設置の問題は、過小評価されている。一般には、美観を優先させて設置されている(aesthetic placement)。しかし、これは全くばかげている。スピーカーはニア・フィールドで聞くべきである(dipole型とline source型を除いて)。壁からの反射はイメージを損なうものでしかない。また、私は3次元的な感触(three-dimensional touching feeling in speakers)に非常に気を遣っている。これは演奏を目に見えるようにするものである。私はimagingは、音楽にとって、真に基本的な情報だと考えている。音のバランスについては常に議論されることであるが、「そこに在るように感じる」こと(feeling of being there)は、極めて重要なことである。
 スピーカーのセッティングについては自分自身で考えなければならない。部屋で話をしようとするとき、部屋の隅っこに行ったり壁の奥に行ったりする人がいるだろうか。そんな人はいない。話をするときは部屋の中央に行くものである。リスニングルームで、誰かに歩きながら話をしてもらう。そうすれば、どこが一番満足がいく音のする場所かを発見できる。セッティングというのはタダで出来ることだ。しかし、そのことにみんな気がついていないようだ。人は$50,000のスピーカーを買い、家内が嫌がるもんだからいい場所に置けないんだ! と言う。」


 この記事は以下より。
 http://www.speakerbuilding.com/content/1039/

 ブリロンすれ
 http://ebi.2ch.net/pav/kako/1006/10065/1006565751.html
 ここに載っていた。キャッチマンという方の訳。







tukipien reminiscences