DIATONE DS-203






三菱DIATONE DS-203 と リラックマ



カタログデータ (オーディオの足跡様より)
大容量エンクロージャーで小口径の ウーファーを伸びやかに鳴らすというDS-205の設計思想を継承しつた スピーカーシステム。

低域にはアラミッドクロス振動板を用いた16cmコーン型ウーファーを搭載しています。
アラミッドクロス振動板は芳香族ポリアミド系の有機繊維アラミッドをコーン素材とするとともに、従来は成形性や気密性などの面で用いられていたレジン(樹脂分)などのバインダーを2層構造とすることで排除し、軽量化と固有音の低減を実現しています。
さらに、HD(ハイダンピング)サスペンションやADMC-m磁気回路を採用することで低歪で厚みのある中音域再生を実現しています。

高域には4cmコーン型ツィーターを搭載しています。
振動板にはB4C(ピュアボロン)を採用しており、16cmウーファーとマッチングの良い4cmコーン型に成形しています。
ツィーターユニットの周囲には人工皮革が貼られており、不要振動や音波の一次反射を抑制しています。

キャビネットは容積を60リットルとし、バスレフポートも大径化しています。また、補強棧の使用を極力廃止することで伸びやかでゆったりとした鳴りっぷりを実現しています。
側面はDS-205と同様に大径ラウンド形状となっており、側板は積層R合板で前面および背面へ両側から回りこむ構成となっています。これにより高い強度を確保しつつユニットからの振動に対してキャビネット全体に振動支点を分散しています。しかも放射された音波の回折を最小限に抑えることで濁りのない再生を可能にしています。この側板は天然木素材をクロス積層大径R形状に時間をかけて加熱一体成型したもので、強度が高く形状安定性も向上しています。
また、内部接合部にはカナディアンメープルを使用することで美しい響きを獲得しています。

背面端子にはバナナプラグに対応した金メッキ大型 スピーカーターミナルを採用しています。
DS-203では4入力構成となっており、バイアンプやバイワイヤリングに対応しています。



方式 2ウェイ・2スピーカー・バスレフ方式・トールボーイ型・防磁タイプ
使用ユニット 低域用:16cmコーン型
高域用:4cmコーン型
定格インピーダンス 6.3Ω
再生周波数帯域 38Hz~40kHz
出力音圧レベル 87dB/W/m
クロスオーバー周波数 3kHz
最大入力 150W
外形寸法 幅360x高さ925x奥行290mm
ネット付奥行:300mm
重量 25kg
定価 ¥340,000 (2台、1997年頃)














ダイヤトーンのトールボーイスピーカーDS-203
(拡大可)


所感・・・・全域にわたって余計な音が付帯しない。かといってスカスカのスカキンでもない。音像に実体がある。輪郭がしっかりしていつつもちつつも包丁のように平面的じゃないのである。クロス積層R合板で出来てる横の狐色のキャビネットは振動点を分散させる。自然で正しい造形と3D的想起・・・文章にするとつまらなささそうさそうな音に思える。でもDS-203のことを想うと毎日が楽しいです(*^^*)。
僕はDIATONEがまだ生きていた頃はDIATONEの音が良いとは思っていなかった。それが今になって良さをわかってしまい、機会損失な気分に陥る。DIATONEを嫌いな人は多く、値段が安いので軽んじられてしまうが、DIATONEは職人気質の厚い古き良き時代の日本製だったし、上位モデルに採用されていたユニットは2024年現在でも世界でトップクラスだと思う。B4Cピュアボロンのドームはベリリウム以上に伝搬速度と内部損失を両立させている。DS-203は普通ならハーシュに聞こえていた音の成分も不思議とハーシュに感じない。アコースティックラボのステラシリーズ並にパルス性ノイズが少ない。アンプにもよると思うけど、ココロ落ち着く。JBLのように国策でもなんでもないのに、日本は造れてしまうのだ、このユニットを。









DS-203の低音はかなり控え目だけど密閉型のように描写力がある。バスレフポートも筒ではなく背圧を逃がすことが主な目的であるかのような形状。DIATONE DS-1000ZA(定価260000円)は 27cm 3ウェイの密閉型なので王道の描写力があった。DS-203の低音は3WAYのDS-1000ZAのような解像度的な愉悦はないけれど、各音像は楽器的な構造をしたキャビネットから違和感なく放たれる。そして引きずらない。それはまさにアラミドクロスコーンの内部損失。






DIATONE DS-203 レビュー

90年代当時はVictorでもマホガニー製のキャビネットを響かせるスピーカー(SX-V1, SX-V7)を作っていたり、DIATONEもDS-900は奥行き285mmに抑えて裏面の米松合板を響かせるなど、ユニットをガチガチに固めるのと同時に、共振をキャビネットに伝えて楽器的に有効活用するスピーカーも数多く出て来ていた。兄機のDIATONE DS-205は真空管で音の調整をされたようだ。DIATONE DS-203は叩くと響きがきれい。振動点が分散しているここも振動点が分散している・・・ぶつぶつ呟いて叩くのである。プロ用モニター的な方向性を求める人には不安がられそうな楽器要素が満載だけど、そこは三菱。基本的に正直な音で地味で伝統を逸脱していない。声は人の声をしているし、音楽は音楽らしく再生する。不要共振などが付帯した音ではなくモニター的に正しい音でありながら、補強棧(リブ)を極力使わない設計などにより音が死んでいないという絶妙を極めているそれなのになんでこんなにDIATONEの評判が冴えなかったかというと当時のトランジスタ・アンプは音質が良くないものが多かったからだと思う。Victor AX-900 や Sansui AU-07 や DENON PMA-S10IIならいいけど、marantz(PM-99SE)やAccuphase(E-407, P-450)やLUXMAN(L-540やL-590ならいいけどL-507sやM-7iあたり)で鳴らされていたDIATONEは不幸だった。100W+100W (6Ω) なんて不要なんですよ。真空管でも12AX7より低電圧の12AU7のほうが音がいいし。高出力はコスト的にも音質的にも毒でしかない。2005年発売のSHARPの1bitデジタルアンプ SM-SX10 はDIATONE DS-1000ZAの実力を発揮したし、2022年発売のEL SOUNDのELMUSE7ならDIATONE DS-203 & DS-205も天国に昇れるだろう。自分はアモルファス・トランス採用の固定抵抗ボリュームを自作し、EL SOUND EPM-3 x 2台で鳴らしてます。値段を疑うと思う。至高の音。








DS-203、 DS-205


  DIATONE
DS-203
DIATONE
DS-1000Z
Pioneer
S-07
B&W
703S2
YAMAHA
NS-600A
YAMAHA
NS-2000A
解像度 ☆☆☆☆ ★★★★★ ☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆ ☆☆☆☆ ★★★★★
D.レンジ ☆☆☆☆☆ ★★★★★ ☆☆☆☆ ☆☆☆☆ - ★★★★★
小音量再生 ★★★★★ ★★★★★ - - ★★★★★ -
開放感 ★★★★★ ☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆
果実感 ☆☆☆ ☆☆☆ ★★★★★ ☆☆☆ ☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆
高域の品位 ★★★★★ ★★★★★ ☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆
中域の濃さ ☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆ ★★★★★ ☆☆☆ ☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆
低域 ☆☆ ☆☆☆ ☆☆☆☆ ☆☆☆☆ ☆☆ ☆☆☆☆☆
WARM感 ☆☆☆ ☆☆☆ ★★★★★ ☆☆☆ ☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆
Natural感 ★★★★★ ★★★★★ ☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆ ★★★★★ ★★★★★
COOL感 ☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆ ☆☆ ☆☆☆☆☆ ☆☆☆ ☆☆☆
譜面通り感 ★★★★★ ★★★★★ ☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆
余韻肉質感 ☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆ ★★★★★ ☆☆☆ ★★★★★ ★★★★★
音質 総合 100 100 100 80 95 100





DS-205(1996年)
2S208や2S305の形状に回帰した温故知新モデル







2S208

オトネクスト様によると 「私はこの2S-3052S208は最も好きなスピーカーの一つです。本当に自然でスッと音楽が耳に入ってきます。このスピーカーを聴くと、他のスピーカーは作られた音に感じてしまいます。あのヤマハのNS-1000Mですら若干不自然に感じられてしまう程です。」




比較・・・岡崎のお寺参りの帰りに電波堂に寄り、素人の女性2人とBowers & WilkinsのDiamondシリーズ 802 D4 (定価約5000000円/2台) と DIATONE DS-205 (定価500000円/2台)を比較試聴した。エリック・クラプトンをちゃんと最後まで聴いた。ライブ録音で拍手の音も入っている。拍手はDiamond 802D4のほうがこっちまでよく飛んでくる。でもDIATONE DS-203のほうが拍手の音にエアー感が伴う。骨に肉がついている。3人ともDIATONEのほうが音がよいと言った。素人の女性2人ってそういう意味じゃないです。興味ないです。しかし買おうと思って次の週に電波堂に行くともう売り切れ... 。これは忘れられません。。。

解像度・・・DIATONE DS-203は兄機にあたるDS-205に比べると僅かに落ちると思う。ウーファーの口径が違う。DS-205は20cm、アルニコ・マグネット。エッジは皮で出来ていてミクロで見ると手作りっぽい丁寧さを感じる。皮のエッジなんて見た事ありますか?郡山のダイヤトーン工房を見学してみたかった。後発のDS-203はフェライト・マグネット。フェライトは減磁の心配が少ないのはメリット。エッジは従来のやつ。ダウンサイジングはしているものの、低域以外の解像度は遜色なく、エアーもよく出てくるし骨格自体が美しい。

音色・・・YAMAHAの2024年のスピーカーNS-600A、NS-800A、NS-2000Aは、DIATONEと同じで自社開発の先進素材を使っている。ザイロンという振動板。日本の製品は売れなくなってきたけど、部品は現在でも世界一らしい。昔のDIATONEは徐々に価値が上がってきた(DS-A5の落札価格が上昇してる)。しかし新しいYAMAHAは盲点ですよ。音色的にはYAMAHAの場合はふんわかした鳴り口で柔和。DIATONEは風景画。同じ日本でもここまで方向性が異なる。PIONEER S-07は甘美な音で空気感がこんもりてんこもり。これも名機中の名機。イギリスのBowers & WilkinsはDIATONEと似ていてオーソドックス。淡白で飾り気のない方向性。水彩画。Continuumコーンになってから音色がしっとりとした。










DIATONE DS-203 音質
(拡大可)

2024年円安の現在、海外の250万円~500万円のスピーカーと変わりない実力。個人的にはDIATONE DS-203のほうが信頼できてる。ナレーターの声など真面目な音は真面目に出てきて、エアーを伴う楽器などの心地良い音は心地良く出てくる。正確な音。音像の造形も皿みたいではない。アンプをおごれば素直に良い音が出るし、DACもケーブルも違いがよく出るし、脚色がなくて飽きがこない。










DIATONE

バスレフポート





ダイアトーン DS203 フラッシュ撮影 急に安っぽく見えてしまう

バスレフポートの中の腹綿








日本製

木工が工芸品レベル。この側板は天然木素材をクロス積層大径R形状に時間をかけて加熱一体成型したもので、25年も経過してこの状態。この湾曲の美しさは写真では伝えられない。・・・あとすべすべ感も。朝起きて抱きかかえて木の心地よさを堪能。先日 机をヒノキで自作したけど、やっぱり木の無垢な触り心地は人間にとって重要です。緑の色もそうだけど。人間はずっとそれと触れ合ってきた。自然を大事にしたい。







DIATONE DS-203


バイワイヤリング対応










DS-203 DS-205

ちなみに植物のフラクタルな形状と緑の色はイライラを減らす効果があるらしい。渋滞しやすい道路に街路樹は必要。






DIA

汚い画像で失敬。足の具合。この足に挟む素材で音が変わると思ったら自分の耳ではそうは変わらなかった。自重が25kgもあるからだろう。2WAYブックシェルフ型のスピーカーだったら敷物で随分と音が変わる。むしろ敷かないとだめ。山本音響工芸から安くて使いやすくて音の良いブロックが出てる。PB-22








ダイヤトーン DS203


左右で木目が異なる。この木目はじっくりと選定されてそう。木目の美しさで値段が変わる商品もたくさんある。ウッドケインなど。だからこういう配慮はうれしい。
天板も叩いたら楽器みたいにコンコンと良い音が出る。MDFにスライスウッドを貼り付けただけではないと思う。素材は何で作られてるかメーカーのカタログデータには書かれてないが、彫刻刀で彫ってみればわかることだ。... ん? 急に魔がさしてくるな... 絶対に彫らないぞ・・・!




DS203


彫りませんから・・・