音のエジソン 409システム



音のエジソン409システムとカポック
409システム旧型








ユニット
EV409-8E(同軸2ウェイ)
周波数特性
80Hz〜18000Hz
能率
97.7dB 1m/1W
材質
現行モデルは赤松集成材


−Maker HP -
―世界には数多くの小型スピーカーシステムがあり、今までにも非常に多くのものが生産されてきました。しかしほとんどのスピーカーシステムは短い期間に粗大ゴミになり処分されているのです。その中にも数種のスピーカーシステムが有名になることは有りましたが他と大きな違いは無く、完成度が低い為に継続的な生産には至っていないと思います。小型のスピーカーシステムの完成度を上げることは非常に難しく、相当の技術と経験が必要だと思われます。スピーカーシステムはスピーカーユニットとネットワークユニット、スピーカーボックスから成り立っていますが、正統派のスピーカーユニットの開発や研究は1960年頃に終わり、その後の開発や研究は見られません。その原因は高ければ売れないという商業主義もありますが、1960年代以降に音楽の価値観や方向が変わり、高度の技術を持つ研究者は他の産業に移り始めたのです。それまでは現在の宇宙開発などの先端産業を担う能力のあるような技術者が音響設計に携わっていたと思われます。しかし、現在は赤字産業のオーディオ界にそのような能力のあるものが携わっているとは考え難く(この発想は蛙クサい)、ニーズも便利さや小型化へ移っていたためデジタル中心になり、音楽を楽しむということに対して音質への欲求が少なくなっていったように思われます。こうして安易な開発が進められ最終的に「良い音は原音再生ではなく、個人の好む音作りで、その音には多くの種類がある」などと発言しています。これでは演奏家の意図する意味や感動や感情は曲げられ、異なった音で聞こえてくるのです。喫茶店の邪魔にならないようなバックミュージックや、音がないと寂しいからテレビのようにつけっ放しにするステレオとして使用するには充分でしょうが、大人がまじめに音楽を聴く道具としては寂しすぎます。
究極のスピーカーユニットを設計する場合、アンプから出力された信号の全てをそのまま音に変えることを科学者は考えるはずです。そうすると、振動板は非常に軽く強く、磁石は強力で、磁場を強力にするためにギャップは極力狭く作る事を自然と思い付きます。こうして作られたスピーカーユニットは高能率で低入力になり、1〜2Wの入力でも十分な音量になります。最近のスピーカーユニットは低音を伸ばす為に振動板を重くします。そして能率が下がる為に磁場のギャップを広くし、ボイスコイルを太くして耐入力を上げます。こうして正反対の低能率で大入力になってしまうのです。
それでは本格的な正統派の小型スピーカーユニットは何があったかお話しします。今は中古品でも非常に高価になりますが、大昔のウエスタンエレクトリック、シーメンス、ジェンセンは非常に能率が高いユニットでした。しかし、音質的には良いのですがフルレンジの為に広い帯域を再生する事が困難です。そこで目をつけたものがエレクトロボイス(元アルテック)の409ユニット、現在でも20センチ級としては世界最高の能率を持ったスピーカーユニットです。このユニットは大昔の化石みたいな物でほとんどそのまま生産を続けられています。このユニットは同軸2ウエイの為に帯域もある程度広く良好な為にそのままの状態で18年前から409システムとして製品化し好評を得ています。









エレクトロボイスの同軸ユニットを使ったお買い得感のあるスピーカー。一般的に流通するスピーカーの甘いサウンドとは画然たる乾いた系のガレージ音で、秋風が目にしみる。トライオードやサンバレーの出展でよく聴くようなサウンド。それがもう少し辛口になった具合か。やはり管球アンプを推奨されているが売ってしまったら無くなってしまったため、現在所有しておらず。かわりにROTELのRA-1062とUNISTARのI2060Sで鳴らした。ROTELでは打楽器が乾いて自然に再現され、無駄肉はそぎ落とされて時間にきっかりしてるけどもちろん硬質という意味ではない。Auraのような外観と音のUNISTARのアンプでは そのピュアな回路構成もあり大気汚染前の空が開ける元気さがあってサボテンのある風景を想わせる。フルオーケストラでも美意識を損なってない真面目さでバランスがよく響きにも埋没がなく再現され、VictorやQUADのようにモイスチャー成分の湛える女性的な肌触り、JBLフロアやMeadowlark Audioのような甘い肉付きは、髪の毛落ちるようにしてシンプル化しているが、Shostakovichのピアノ協奏曲はシンプルに過疎した音の中に躍動(L'elan vital)はよく抽出されていて、弦楽四重奏ははっきりとハキハキ演奏され、Kodaliのハンガリー詩篇は恬淡な声楽で玄を談じられる。もっと男子高生のような後姿の野生動物っぽさもほしいな、と思うところだけどこれが現実を観照する大人の煩悩のなさかなとも思う。感動にはダイレクトに届くスピーカーである。
同軸ユニットのよいところは花火の様に音が拡がるところで、こんな真四角な無骨な形してても有機的な音の魂を形成し、前面バッフルの間接音にも機微を見いだせる。開口ダクトの位置は、何回も試聴を繰り返した結果で大きさや場所が決定されていて音の封じ込められた感じや低音の膨らむことがない塩梅になっている。ここに三半規管を近づけると、フルレンジなのに思った以上に低音の量があることがわかる。またその低音はこのボックスの大きさに伴った冗長性があり、自然に下に伸びてきたような過程を想わせる楽器感で、ユニット自体の振幅のみで前面空気に音圧を与えて純粋な伝達を目指したようなヘッドホン的な低音とは感覚が違い、僕の蝸牛には優しく思えた。また感触もよく心は愉悦した。その増幅はスピーカーの個性にもなってしまうが、元々あけすけな振動を為すヴィンテージなユニットであるため、その音にボックスの音が加わってもまだ色付けがないぐらいに思える。高域方面ははっきりとするので、至近距離でずっと聴いていると耳が痛なるけど、日をおけば日に日に増してよくなる。





EDISON409のカタログ。現在は若干値上げされている。