Flying Mole
DAD-M100 pro (通称 黒モグラ)
 

DAD-M100プロ。フライングモールのデジアン。


Advantage
・定格出力:160W/4Ω、100W/8ΩMono.
・驚異の電力総合変換効率85%で、低発熱
・重量:650gの超軽量
・超小型寸法 32(W)x238(D)x43(H)mm
・密閉構造、防塵構造で、高信頼性設計
・DAD-M1でおなじみの高音質・高性能回路搭載
・世界の安全規格を取得予定(電気安全法、UL、CSA、CB証明)
・入出力端子を3バージョン用意(HT,BB,BI)、あらゆる用途に対応。
・1/3出力で連続出力可能
・ハイ・インピーダンス対応が可能
・消費電力が、160W/4Ωで30Wと従来の1/3。75W電源高調波規制も対象外


 ヤマハのオーディオ全盛期時の技術陣が立ち上げたブランド。「Flying Mole」を和訳すると『飛んでいるほくろ』。デジタルアンプの初機モデル。オーディオ誌では質感重視したアンプについては「これは力でゴリ押しするタイプではなく」とか書かれるのだけど、黒モグラは完全に力で押すタイプだった。どうやって表現するのだろう。馬力のある壮健な音である。USHER COMPASSというスピーカーをユニットの隅々まで鳴らしきる。楽音が浮き彫りにされる。小型のALR Jordan EntrySでは力強い低域駆動力は空回りしていたけれど前へ前へって感じのリアリティ溢れる鳴り方で眼前まで造形が届く。メタルコーンがビシバシである。まるでアイスピックをかざすシャロンストーンである。
 スピード感や解像度だけなら100万クラスの音。上位のDAD-M300proは、M100proのバイアンプ駆動型。M100proを4台でM300proと同等のものになる。基板だけのOEMモデル用にAPS-M160IIGというものがある。
 デジタルアンプは上から下まで均質のスピードで出てくる。特に低域はもたつきがなくてそのまんま出てくるってところが真空管やトランジスタと違う。とてもジェットな音質である。そのまま増幅してまっすぐ。みずみずしさすら感じられる。スピーカーはただ動的にドライブしてますって感じでプリアンプのエッセンスがそのまま流れてくる。プリがソノリティーのほとんどを決定してまいそうな勢いだが、それが都合が良い場合もある。フライングモールは普遍的にみて高音質なのは間違いない。欠点としてはデジタルアンプの特質か、小音量ではどうも音が死んでいる。小音量は真空管が一番よい。デジタルヴォリュームは絞るほど音が死ぬ(TEACのVRDS-25xでも最新のミニコンポでも)。暗所でのデジカメ撮影もそうだ。どこか通底している。デジタルはどうも淡色表現が苦手に思える。理由…HiT開発研究所 LTC-101055S
 黒モグラはニュートラルでカラーが少ない。業務用の音で検聴用になってしまう。省エネだし制作者側には理想的だがリスナー側の人はプリには面白い音のものをあてがいましょう。DAD-M100proには一応ヴォリュームがついている。DAD-M100proの入力をしぼるほどプリのコクが増し、ヴォリュウムを回すほどデジタルアンプの端整な特質になる。PM-11S1はプリアンプ部のアウトプットをあげて、パワーアンプのゲインを少なくしている。逆起電力の悪循環をリラクセーションしているようだ。それとは関係ないけどプリとパワーがパーに働くようボリュウウムをコントロールするとタッチが快くなる。100という音を出すには10×10がロジカルである とか言ってsteps and stagesに膨らませていく(パワーアンプに搭載されているヴォリュームはコンシューマーに嫌がられる傾向があるけど、黒モグラは-0dBの位置でバイパスされる。別段ナーパスな代物でもないので改造するならガリが生じてからでいいと思う。あ…バイパスされるのなら-0dBの状態がベスト…なのでは…?あ…しかもソースの電流電圧の低い段階での接点が一個減る…あ)
 定格出力:160W/4Ωで数値的には大きいだけど、それは無駄かもしれない。トランジスタアンプと同様にクリップ時のノイズに奇数倍音が多いから大きい方が悪いノイズは混入しなくて良いかもしれないが。真空管のノイズや振動版の分割振動等はさほど不愉快ではない。この特質、うまく表現できないが、素子が自然な慣性で働くものほど偶数倍音で崩れる。…。


【参照】
USHER AUDIO X-719
OLS Audio Technology EM8
ELSOUND EPWS-5S



シベリウス
6つバガテル



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