Pioneer XDP-100R / private XDP-20 / XDP-30R








+++Pioneer XDP-100R (W)+++
Androidスマホにヘッドホンアンプを内蔵したようなモデルで、すぐ電池なくなるけど、しっかりとした音が出る。「変換器」として優秀な音で、DAPなのに「音の種類」が多いと思う。「純度」は液晶が白黒画面のケンウッドの往年の名器(MGR-A7, MG-G608等)に負けるけどfiioの廉価機種(X1)とかに比べればぜんぜんピュア。








+++ 所 感 +++
XDP-100RはパイオニアのDAP初号機。ポタアンと一体型仕様なので若干重いけど、ケンウッドのMG-G708等には解像度、デザイン、操作性、機能の点で勝っている。外装のパーツにメタル素材が多く、気合の入りようを感じる。その分 図体の大きさ・重さは、ネックストラップにぶら下げた時に不安になるレベル。液晶の画質は色再現が悪い。Wifiでつなげばゲームはできるけど色味が抜けてる。それはそれでいい。でも写真はデジタル臭さが濃厚になる。 ヘッドホン出力の音質は、往年のもちもちのパイオニアサウンドではなく今のパイオニアの音。ONKYO DPX-1Aより多少重心が低いらしいけど、A-717とかC-90とか、そういう音ではない。下につづく








+++ ヘッドホン出力 〜 Bluetooth接続 +++
ポータブルやヘッドホンは音の純度・生命感を求めると解像度やアンプの出力は落ちる。フラットな特性を求めると音の純度が損ねられる。ソースが運搬される距離が長く、介在する素子の数だけ音が死ぬので、XDP-100Rは生々しさ・ナイーブ感ではKENWOOD MG-G608MGR-A7MGR-E8の比較にならず、audio-technica ADH-2000Xとの組み合わせではやや抑圧感もある。天空まで突き抜けていない。けど上下均質に出ていてしっかりした楽音が聴ける。強力なアンプを搭載していてAKG K-702のように音圧レベルの低いヘッドホンも音量不足にならない。まともな音で鳴ったことがないSONYのMDR-SA3000が初めてしっかりと生き生きと鳴っている。想定外だった。フルテックADL H118 / H128はこの密度の濃さと合わさって芳醇なハーモニー。往年のパイオニアのソウル(魂)が感じられた…!(なんて前世代的なことが言いたくなるではないか)。アンプ部はアイソレートされていて損なわれた生命は少ない。Android搭載で大きな液晶に、WiFiとか途切れにくい強力なBluetoothとか、カメラはないけど外部スピーカーとか (これいらない。電車で鳴ってしまわないか不安)。こんなにてんこ盛りでいて、この音質なら、ぜんぜん悪くない。起動が遅いから使う前に電源投入しておく必要はあるけど。

それはヘッドホン出力の場合。LINE出力の音質はKENWOODに三歩ぐらい後退する (Fiio X1よりは3歩ぐらい高音質だけど)。しっかりしたヘッドホンアンプを搭載してるので使わなくていいけど。(ちなみにポタアンを使うなら、ラインアウトの端子がヘッドホン出力から独立している機種がいいと思う。MGR-A7、MGR-E8など。ラインアウト専用設計の方が、ナイーブで高音質になる。ヘッドホンアンプを介在してなくて出力が小さい分、相対的にケーブルの音の違いは出やすくなるが。すごいナイーブ。)

それはLINE出力の場合。最近、Bluetooth接続のピュアな音具合にハマり、各機種を比較すると、パイオニアらしい厚みを感じる。SONYnoWalkman NW-ZX300Gは肩の抜け落ちる感覚(=オーディオフェスタなどで聴く最近のハイエンド・オーディオに共通する要素)があるが、さすがにDAP(ポータブル)で、女性ヴォーカルは肉質感がなくあっさりで、ラピュタの「君をのせて」は背景のヴァイオリンが聞こえないなど、脱落している部分も多い。でもNW-ZX300はウォークマンのある種の完成した領域に達していてポータブルでしか出せない音を以て音楽再生の高みに至ってる。あの透明感はやはりやばい。液晶ガラスのマット仕上げもいいし。





Pioneer private XDP-20は、いい音。肩の抜け落ちる感覚はそこまでではないけど、Jazzの低音が厚い。ややタイトな低音。全体的に筋肉質な音。総合的に見るとNW-ZX300に比肩するレベル。Bluetooth接続しても厚みがあり、解像的にはXDP-100R / XDP-300Rより更にまろやかな輪郭感があるキャッチ―な音。XDP-20の音の色味は古きよきところもある。XDP-20/XDP-30RのLCDモニターは汚くて小さいけど、それは、温故知新の部分だ。コストダウンではなくむしろ意図的にそうしてる。ONKYO DP-S1Aも同じ。その分高音質になる。価格コムのDAP見てもレビューのほとんどは『音質』について重点が置かれてるし、合理的に「音マニア向け」に作られてるDAPだと思う。SONYのWALKMANは値段が高いけどポータブルの存在の高みに至ってる方向性。それも悪くはない。同じ値段ならPioneerとかONKYOのが高音質だけど、両方を購入して一年経過後はWALKMANばかりを使っている可能性もある。自分はそうでした。



  Pioneer
XDP-100R
Pioneer
XDP-20
KENWOOD
MG-G608
KENWOOD
MGR-A7
SONY
NW-ZX300
fiio
X1
音の質量 ☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆ ★★★★★ ☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆
音数 ☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆ ☆☆☆☆
D.レンジ ★★★★★ ☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆
開放感 ☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆ ★★★★★ ★★★★★ ★★★★★ ☆☆☆
果実感 ☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆ ☆☆☆
高域の綺麗さ ☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆ ★★★★★ ☆☆☆☆☆ ★★★★★ ☆☆☆
中域の濃さ ☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆ ★★★★★ ☆☆☆☆☆ ☆☆☆
低域の量 ☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆ ☆☆☆ ☆☆☆☆ ☆☆☆☆ ☆☆☆
WARM感 ☆☆☆☆ ☆☆☆☆ ☆☆ ☆☆☆☆☆ ☆☆☆ ☆☆☆☆
Natural感 ☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆ ☆☆☆
COOL感 ☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆ ☆☆☆ ★★★★★ ☆☆☆☆
譜面通り感 ☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆ ★★★★★ ☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆
余韻肉質感 ☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆
Bluetooth音質 ★★★★★ ★★★★★ ★★★★★ - ★★★★★ -
音質 総合 100 100 95 100 100 75
操作感 ☆☆☆☆ ☆☆☆ ☆☆ ☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆
素材感 ★★★★★ ☆☆☆ ☆☆ ☆☆☆☆ ★★★★★ ☆☆☆☆☆