* SPENDOR *
スペンドールはBBCの技術者だったスペンサー・ヒューズ氏が1960年代に興した会社で、自分と婦人のドロシーさんの名前をとってスペンドールとしたようだ。サウンドトラックスというプロオーディオの会社の傘下になったのちに手放されたが、スピーカーは今も昔から変わらない環境で造られている。三浦さんによるフィリップスウィスト氏(現オーナー)のインタビューによると、「私にとってなによりも幸運だったのは、スペンサー・ヒューズの手によるスピーカー設計に関する膨大な資料がスペンドールに残っており、昔から工場で働いていたベテラン職人も在席していることです。有形無形の貴重な財産を、私は失うことなく引き継いだことになります。」とのこと。
SPENDORはKEFやHARBETH、Rogersと並びクラシックのモニターとして確固たる地位を築いていた。イギリスBBC規格のモニターとして製作されたLS3/5でそれぞれ歴史を聴くことができる。「ロジャースはゆるい音、KEFは上品、スペンドールは締まりが有り、ハーベスがその中間的な音」。広い音域をできる限り癖のない正確な音で再現することを目標にしたものだけど、それぞれの気品と個性があり、どれもじっくり聴きこむほどに情熱の伝わる音が出る。「往年の」とか言われるものは概して無色透明からは遠いけど反対に濃い個性に繋がっている。
|