モダンアンティークな施しをされたTEACのTAPE Recorder..
設定項目が豊富でユーザを心持ち緊張させる録音機材。
1本のテープの中にエンジニア的な情熱を注ぎ込むかのよう。
作られた音にはデジタル機材にない温度感がある。
また一つ、美しい文化が過去に置き去りにされていたことを思い出す。
太く、やわらかく、どこか温かい。
ノスタルジーは忘れてはならないものである。
上級機にV-8030Sというのがある。定価¥90000でV-6030Sより2.5万円高い。
クォーツロックPLL D.D.モーターをキャプスタンに使用しているのがV-6030sとの主な違い。
その他は金メッキ端子、銅シャーシの採用、細かな配線の素材も高級なようだ。
外見的にはインシュレーター以外に違いはなく、
V-6030sがシルバーなのに対し、V-8030sはゴールドである。
写真では右下のモデルがV-6030sのようだ。
また、ブラックバージョンはV-6030sだけだったような記憶がうっすらとある。
音質については、当時のサウンドレコパルによると、
V-6030sが元気でパワフルなのに対し、V-8030sはソフトで穏やかな傾向らしい。
V-6030sはジャズやポップスに, V-8030sはクラシックに向いているとのこと。
3ヘッド搭載。消去ヘッドは単独では使用できない。
メーカーに問い合わせてみたところ、消去ヘッドは録音中に働いているようだ。
音質重視のため、リバース機能はついてない。
ドルビーS搭載。静寂感は増すがドルビーCに比べて大袈裟な差はない。互換性も乏しい。
個人的にはドルビーはあまり使いたくない。ダイナミック感が落ちるから。
アンティークな味わいのある右下の4つのボタンはランプの色を透過する。
オレンジの表示画面。クロックはCDとズレる。そんなところまでノスタルジーを演出している。
中学の頃はテープの音質の違いを研究していた。
maxell(UDシリーズ)はスカスカだった。
DENONはその音を聴いてユピテルとかFUNAIと同じ系統だと思ってた。
AXIA(PSやKシリーズ)はしつこく、SONY(XやESシリーズ)は高いけどいまいちなので
僕はTDK(CDingは除く)ばかりを選んでた。最も厚みがある音だった。
自分のラジカセはノーマルしか使えなかったから、メタルテープの録音に憧れがあった。
補足:掲示板
このデッキの音は確かによかった。
テープキャリブレーションで録音レベルやバイアスを最適なレベルに設定できるので
どのテープがいいのか悪いのかなんてあまり感じなかった。
どれもよくて、メーカーの判別が不可能なくらいだったった。
なぜmaxellなんて使うんだろう…と思っていたけど
自分のVictorのラジカセとの相性問題だったのかもしれない。
実力を発揮させたら解像は全体的に満ちていた。
ADP使っていなければ高級なおもちゃかもしれないが、
テープだとカーステレオの音も良い。
機能が多彩で最大限に遊べるようになっている。
録音の手順
キャリブレーションスタート
↓
トーン調節
↓
バイアス調節
(少しでも偏った見方を減らす)
↓
録音レベルを調節
(ステレオマークより右に超えすぎては空気感レベルが埋没して痛く、
弱すぎてもオフマイク気味になる。平均してステレオマーク辺りに来るのが理想。
メタルテープ時は結構音圧が取れるようだが、最大値が8dbまでいってもよいという事なので
調子に乗って録音レベルを上げすぎるとやはりオンマイク気味になってしまう。)
↓
DolbyNR選択
(ドルビーSまでついている。OFFが一番生音には近い。)
↓
再生に合わせてスタート。
まるで録音エンジニアの気分。
録音レベルは手つまみのノブでの調整だから
テープ端でフェードアウトさせたいときには録音レベルがオートの機種のほうが楽でいいけど
一曲の間に録音レベルが自在に調整できるのは申し分ないメリット。テープはこうでなきゃならない。
カーステ用の録音ではこれが重宝する。
特に管弦楽はフォルテ〔f〕⇔ピアノ〔p〕の差が激しい。
フォルテに近づくにつれて録音レベルを下げてやさしく、
ピアノの時にはレベルを上げて明瞭に聞き取れるように録音する。
録音レベルをあげている最中いきなりフォルテが来たりしたらリテイク。やり直し。
音割れがしにくいし、ノイズ感も少ないからこそ、そんな遊びが有意義な製作になる。
そうこうしているうちに音楽が完全に頭に浸透してしまい、完成前に飽きてしまうのは問題だけど。
アンティークでアナログチックなデザインがいい。
最大限にゴールド。
シャンパンゴールドとか言う気取ったゴールドではない、純にゴールドだ。
ビューティー、グローリア。
MDというメディアも出ていたのに
V-6030sは高校のとき一番好きで、一番触っていた機材だった。
でも今となってはこんな扱いがされている。