ステレオ・インテグレーテッド・アンプ E-407

【特 長】

3-パラレル・プッシュプルのパワーアンプ・ユニット使用による、チャンネル当たり260W/4Ω、220W/6Ω、180W/8Ωの充実パワー  パワー増幅器に使用される半導体は、コレクター損失が大きく、高周波特性、耐破壊特性の良好な素子が選択されます。本機にはさらに、電流増幅率リニアリティ、スイッチング等の諸特性に優れた、マルチエミッタ型大電力オーディオ用パワートランジスターを採用しました。 この素子を3-パラレル・プッシュプルで構成し、大型のヒートシンク上に取り付け、効率的な放熱処理をしています。このように十分な余裕度をもつ設計により、チャンネル当たり260W/4Ω、220W/6Ω、180W/8Ωの大出力パワーアンプを実現しました。 出力素子のパラレル接続は、単体による同一動作より素子がもつ固有の電流容量、出力インピーダンス、内部雑音を低くでき、また素子から発生する熱を分散させることができるので、負荷の変動に対して、非常に安定した動作が保証されます。また、リアクタンス成分・低インピーダンス負荷駆動能力に優れた威力を発揮します。 E-407 では大電力オーディオ用マルチエミッタ型パワートランジスターを採用し、さらに微小信号における、ひずみ率やSN比が向上し、性能・音質向上にも大きく寄与しています。プリアンプ部/パワーアンプ部とも、高域特性の優れたカレント・フィードバック増幅回路を採用 増幅器の周波数特性は、周波数が高くなると裸利得は低下し、利得を大きくすると周波数帯域が狭くなります。これを改善するため、出力信号の一部を入力に戻してやるのが、NFB(負帰還)という手法です。位相回転を問題にしなければ、裸利得を上げ多量の負帰還をほどこすことにより、高い周波数帯域まで周波数特性をフラットにすることができます。
 一般的な増幅回路は、出力電圧の一部を入力に返す電圧帰還型が多く使用されますが、本機では出力信号を電流の形で帰還するカレント・フィードバック(電流帰還型)増幅回路を採用しました。第1図にその基本原理図を示します。まず帰還側の入力端子のインピーダンスを下げて電流を検出します。その電流をトランス・インピーダンス増幅器でI-V(電流−電圧)変換し、出力信号を作ります。帰還入力部分(第1図の電流加算部分)のインピーダンスが極めて低いので、位相回転が発生し難く、その結果位相補償の必要は殆どありません。このように、少量のNFBで諸特性を大幅に改善できるため、立ち上がり等の動特性に優れ、音質面でも自然なエネルギー応答を得ることができます。この回路では、利得の大小による周波数特性の変化はほとんどありません。第2図に電流帰還増幅器の利得を変化させたときの周波数特性を示します。広帯域にわたって一定の特性であることが分かります。
E-407 第1図
第1図
E-407  第2図
第2図
音質重視の本格的ディスクリート型ラインアンプ CDやチューナーなどの比較的大きい信号を受け持つ部分がラインアンプで、第5図がサーキット・ダイアグラムです。このラインアンプをカレント・フィードバック増幅回路によるディスクリート・パーツで構成しました。基本はアキュフェーズのオリジナル、差動ピュア・コンプリメンタリー・プッシュプルで、出力段にはシングルエンデッド・プッシュプル型のエミッタ・フォロアーを設け、比較的シンプルに仕上げました。これにより各段の位相補償も軽く、豊かな音場感と自然な雰囲気を再現する原動力になっています。

高信頼を誇るロジック・リレーコントロール 入力セレクターなどのファンクション切り替えで信号経路を引き回すことは、音質の劣化につながります。本機では、切り替えが必要なその場所にリレーを設置し、最短でストレートな信号経路を構成しました。これらのリレーを電子的にコントロールするのが、ロジック・リレーコントロール方式です。これに使用するリレーには通信工業用の密閉形リレーを採用し、その接点は金貼り・クロスバーツイン方式で、低接点抵抗・高耐久性の極めて質の高いものです。
音質重視の加算型アクティブ・フィルター方式トーン・コントロール プログラム・ソースのエネルギー・バランスは千差万別であり、スピーカー・システム、リスニング・ルームによっても大きくバランスが変わりますが、いつも自分の好みのエネルギー・バランスに整えて鑑賞したいものです。トーン・コントロールはそのための機能ですが、とかく音質劣化を来すといわれ敬遠されます。本機は、本格的なグラフィック・イコライザーに使用される加算型アクティブ・フィルター方式のトーン・コントロールを開発し搭載しました。この原理図は第6図の通りで、本来のフラット信号はストレートに通過し、必要に応じてF1、F2で特性を作り、フラット信号から加減させる方式で、最も音質の優れた方式です。音質重視の専用ヘッドフォーン・アンプ回路を内蔵 インテグレーテッド・アンプでは、ヘッドフォーンでの鑑賞も重要なファクターです。本機では、ヘッドフォーン専用のアンプを設け音質に配慮しました。スピーカー・セレクターでスピーカーへの出力を切り、メインボリュームでヘッドフォーン出力を可変することができます。マックス・リング型大型トロイダル・トランスと大容量フィルター・コンデンサーによる強力電源部 電力の供給源である電源部は、パワーアンプにとって重要な部分です。 本機に使用した電源トランスは、約600VAの大電力容量の大型トロイダル型を採用しました。 さらに、熱伝導にすぐれ防震効果の高い充填材を用いて、高効率放熱構造の無共振アルミケースに固着、外部への影響を完全に遮断しています。トロイダル・トランスは、ドーナツ状のコアに太い銅線を捲くため、非常にインピーダンスが低く、小型で変換効率が極めて高く、大出力パワーアンプには不可欠な部品の一つです。 特に、今回採用したマックス・リング型は次のような利点があり、オーディオ用として優れた特性・特長を備えています。@ 鉄芯の断面が円に近く、コイルも円形に近く巻け、密着性が良い・・・・ロスが少なく、重量を軽くできる。負荷時のリーケージフラックスが小さく、唸り・振動も小さい。

A 鉄芯の断面積を小さく、銅線の重量比率を大きくすることにより・・・・鉄損やインラッシュ電流が小さい。

また、フィルター用アルミ電解コンデンサーには、33,000μFの大容量を2個搭載、余裕ある電源部を構成しています。
2系統の大型スピーカー端子 真鍮無垢材を削り出して金プレート化し、太いスピーカー・ケーブルにも対応できる、大型スピーカー端子を装備しました。また、スピーカーA/Bの2系統を切り替えて使用することができ、さらにスピーカー・セレクターの『A+Bポジション』によって、スピーカーの低音域/高音域を分離した『バイ・ワイヤリング』接続が可能です。
アナログ式大型ピーク・パワーメーター 出力電力をモニターする大型パワーメーターを装備しました。このメーターは対数圧縮型ですから、広いダイナミックレンジを一度に見ることができ、しかもピークを捕捉していますので、時々刻々変化する音楽信号を正確に監視することが可能です。メーター照明のON/OFFスイッチを装備し、ホームシアター用にも配慮しました。高音質ボリュームの採用。音量および入力ソースを遠隔操作するリモート・コマンダーを付属 ボリューム、入力ソースをリモート・コマンダーでも行なえるように配慮しました。再生音の質を大きく左右するボリュームには、特にひずみ率の小さい抵抗体を使用した、高音質タイプを採用しました。この高級ボリュームとクラッチ付の小型モーターとを組み合わせ、リモート・コマンダーによる、スムースな音量コントロールを可能にしています。バランス入力も備えた多入力端子 プログラム・ソースの多様化に対応して、入力セレクター側で8系統(オプション2系統含む)、テープレコーダー2系統を入力することができます。この内バランス(平衡)入力を、CD及びLINEの2系統用意しています。 機器間の信号ケーブルから混入する妨害雑音に対処するため、本格的なバランス入力を設けました。バランス伝送の出力側は、同一振幅で位相が反転(180度)した、ノン・インバート(+)とインバート(−)の信号を出力します。入力側はこれを+入力、−入力で受けて差信号を取り出します。この時、ケーブルの中で発生するノイズ成分は、両極に同相で入るため、入力アンプでキャンセルされ消滅してしまいます。 機器間を接続するケーブルが長くなるほど、外来雑音によって信号が妨害され音質に影響を与えます。バランス接続によりこの妨害から完全にフリーになり、良質な信号伝送が可能になります。
プリアンプとパワーアンプを単独使用できる、セパレート・スイッチと入・出力端子を装備 プリアンプ部とパワーアンプ部を分離し、独立アンプとして使用するための切替スイッチとその出力・入力端子を備えています。 グラフィック・イコライザーやサウンド・プロセッサーを挿入したり、他のプリアンプやパワーアンプを接続するなど、独立して使用することができます。この時のパワーアンプの利得は当社のパワーアンプと同一ゲイン(28dB)に合わせてありますから、システムのグレードアップが簡単にできます。オプション・ボードでアナログ・レコードの再生可能 アナログ・レコードは貴重な存在であり大切なソースです。本機は、アナログ・ディスク入力用オプション・ボードを増設することにより、ハイグレードなレコード再生が可能になり、その優れた個性を余すところなく再現することができます。 MM/MC型それぞれのカートリッジの特性を考慮した専用の入力回路やMC入力インピーダンスの選択、サブソニック・フィルターを備え、これらはボード内で設定することができます。リアパネルに、2枚のオプション・ボード増設可能なスロットを装備 オプションを簡単に挿入できるスロットがリアパネルに装備されていますので、用途に応じて空いているスロットに、任意のボードを増設することができます。本機は、AAB(Accuphase Analog Bus)Interface規格に対応しています。
オプション・ボード
2種類のオプション・ボードが用意されていますので、用途に応じてリアパネルのオプション用スロットに増設してください。・空いているスロットに、任意のオプション・ボードを増設することができます。・2種類のボードは、AAB(Accuphase Analog Bus)Interface規格に対応しています。・アナログ・ディスク入力ボードAD-9 、ライン入力ボードLINE-9 も使用できます。

ライン入力ボードAD-10

アンバランス方式の一般的なハイレベル入力端子です。CDプレーヤー、チューナーなどアナログ信号の入力端子として使用します。

アナログ・ディスク入力ボード AD-10

アナログ・レコードを再生します。高性能ハイゲイン・イコライザーを搭載していますから、いかなるカートリッジにも対応することができます。*このボードを2枚増設すると、2系統のカートリッジに対応することができます。挿入前に、内部ディップスイッチにより、MM/MCイコライザ−・ゲイン切替、MC入力インピーダンス、サブソニック・フィルターON/OFFの設定をおこないます。

MM:高出力電圧のMM型カートリッジのポジションです。
ゲイン : 36dB、入力インピーダンス : 47kΩ
MC:出力電圧が低いMC型カートリッジを使用するときのポジションです。
ゲイン : 62dB、入力インピーダンス : 10/30/100Ω切替

オプション・ボード実装の様子



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