僕はコートを着ていて温かいが、もし君がこの秋風の中で震えているのを見かけても、このコートを着せる勇気はないだろう。いかなる良心からであっても、面識のない高校生にコートをかけるなんていうことは犯罪だこともあり、僕はただ震えているのを見つめているだろう。・・・・。本当のことを言うと、犯罪というのは他の種族とは違うその絶対的な存在感を前にすれば、ただの言い訳だ。眺めることはできても、自分にはどうしても近づくことすらできない。コートを渡すことは不可能と言える。これが言い訳である。その気高い存在感に見合わない貧相な現実を眺め、嗜むことは悪魔趣味的で、児童保護法に抵触するという言い訳があれば心置きなくサディスティックな快感を味わえる。質の高い感受性を持ち合わせていても、敏感な感覚のせいで冷ややかな芸術性を伴いつつ夕日に感傷的に轟く風は、ただ痛いだろう。



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