テリー伊藤の「なぜ日本人は落合博満が嫌いか?」 という本が発売されて、山井事件を思い出して、未だぶり返す思いがあるので書きます。
2007年の日本シリーズ、ドラゴンズはクライマックス・シリーズを勝ち抜き53年ぶりの日本一を勝ち得た。終盤に1位の巨人を猛烈に追いかけて急接近するも、最後は1.5ゲーム差で巨人に軍配が上がった。でも2位のドラゴンズはクライマックス・シリーズでジャイアンツに3連勝をしたので、トータルするとドラゴンズが1位である。という僕はドラゴンズファンです。クライマックス・シリーズ最終戦では荒木井端のスーパープレーがあの試合で出るかといった具合で、「今年巨人が優勝できたのは偶然だな。勝てる気がしない」と巨人ファンにいわしめるぐらいでした。2007年前半は僕は死にかけていたのだけど最後の最後で元気でした。
この年の日本シリーズは、なにやら奇跡的なことが起きていた。
初戦は川上とダルビッシュの投げ合いで、開戦時にテレビでダルビッシュを観たときは獅子が雄々しくて、その姿は神が宿ってるみたいだった。ホップするような直球を森野が空振りして、1点取れれば勝てるかもしれないな、と思った。でもこちらの川上もすごくて、シーズンでは観たことないような球を放ってた。初回に川上は3ランを浴びてしまったが2安打での敗戦投手になった。ダルビッシュも13奪三振のシリーズ・タイ記録で4安打しか許していない。7時から寺の修養会があって観られなかったけど、気でわかってた(笑)。
初戦の両者のピッチングもすごかったけど7戦目の山井はもっとすごかった。8回まで完全試合をしていた。
なんでこんなことが起きているのだろうと不思議だった。
7回から観て、もうすごい緊張感でしたが、最終回は岩瀬投入になった。僕は"えっ"と思った。父親は「ここで岩瀬投入かよ、すごいな落合は」と言っていた。そこで三人で締める岩瀬もすごかったが、落合もすごいと改めて知った。
試合後にPCをつけると、あの場面で継投をする落合監督の是非について、どっかのWebサイトはアンケートで
・山井に投げさせるべきだった
・勝利のためには仕方がなかった
の二択で投票させていた。
勝利のためには仕方がなかった…ねぇ。
あれから3年も経つけど 未だその会社と そのアンケートを作った奴には腹が立ちますね。ネットサーフで見ただけなのでどこのサイトかは忘れたがね。
批判的な立場の人には、プロ野球全体のためにとかファンの拡大がとかなんとか言う大義名分好きな人がいるけど、野球やったことない人には野球なんてわからないだろうな。そういう人はすぐに去るだろう。
あの状況で岩瀬を投入する落合の凄さがわからないような人なら、どうせ山井が完全試合したとしても来年にはとんと忘れてるだろうな。
あの場面で岩瀬を送るということの凄さは、誰にも想像もつかない決断だと思う。昔広島の大野が一点差の九回二死満塁フルカウントで、ストライクゾーンからワンバンしそうなぐらいに落ちるフォークを代打の切り札八重樫か誰かに投げたことを思い出した。当然、そんなボール来たら振るでしょう。見逃されたら押し出しである。それを投げさせる達川も凄いと思うが、それ以上にすごいことかもしれない。
落合は昔気質なんだと思う。80年代なら交代する監督も多かったろうな。今の人は即物的だから人間の奥深いところがわからないかもしれないが、山本浩二監督なら大野にしてたろう。野村監督は「監督が10人いたら10人とも、投手を交代できないのでは」と発言。当初は反対意見かともとらえられたが、後に「あの場面で投手を替えられる監督は2人を除いて他にはいない。」と説明。犬猿の仲との噂の阪神の岡田監督(当時)も、「ほらそうよ。うちなら球児やろ」と言う。ちなみに岡田監督は現役時代、ホームラン談話で「カーブのときは腕が低くなるからわかった」、などと普通なら相手チームには隠しておくようなことを普通に言っていた。
矢沢健一さんにはがっかりした。もう完全に観戦者だもんな。
やくみつる…はぁ。彼は頭はいいんだろう。でも科学的な傍観者ですよ。IQ番付の番組で知能の高いところを示して、インテリ芸能人がやくさんやくさんと仰いでくれたおかげか、最近丸くなったけど。
その現場にいる人のメンタルなど理解できもしない。イチローの「過去のことは引退してから振り返ります」というコメントの意味もわからないだろう。もちろん記録を追い求めることもプロ野球の観戦者としては楽しみの倍増に繋がるけど、本質は野球の中にあり、プレーする人のしぐさとか言葉にあると思う。球場の演出にも問題があるけど、現代人の見方にも問題があると思う。 |