Rogers Studio 9


ロジャース スタジオ9 8 7

Rogers Studio 9 (定価\360000)
2WAY3スピーカーバスレフ
16.5cmポリプロピレンコーン型×2
2.5cmソフトドーム型
クロスオーバー周波数:3kHz
インピーダンス:6Ω
最大入力:125W
感度:90dB/2.83V/m
寸法・重量:W221×H906×D245, 17kg


ロジャーズのStudioシリーズはLS5/9-WN(1985-)やLS3/5A-TK(1976-)等の往年の名機に埋もれて存在感の薄い印象ではあるけど、日本にも正規に輸入されていて、季刊ステレオサウンドでもちゃんと紹介されていた。往年の渋みのあるロジャースとは違って新しいめのサウンドを奏でる。RogersはStudioシリーズのモデルを何種類か出している。Studio9は1996年のモデルで、シリーズの最後に発表された締めくくりの番号。外観は、Studio7(1993年:定価\270000)やStudio5(1994年:定価\200000)までとはサランネットの形状とキャビネットの色合いが違うけど、ユニットの材質はStudio 3/5/7等と同じで、同一傾向の音色と思われます。Studio9は豊かな低音分が音楽再生にありがたい恩恵を与えている。解像度はBOSE 363と同じぐらいかな? 鮮明ではない分穏やかで、たいていなにを聴いていてもストレスはない。
Studio9は一言で言うとノスタルジックな音。高音伸びてないのでハイレゾには向いてない。USHERのS-520に似たゆるさと透明感があります。しかしStudioシリーズのポリプロピレンコーンの音色は、USHERなどのXPPのウーファーほど無色でニフラムな音ではなく少し温度が乗る。透明感にもいろいろあって、ATH-CKM99のようなデジタルでクリアルな透明感ではなく具体的な音の純度が保たれてる感じです。うまく説明できないが。低音はぼよぼよとしています。全体的に凹凸感がなくのっぺりとしていて、まさにゆで卵のようにタンパク質な音です。音像は前へ出ず、フロントバッフル周辺で溶け込んでいます。
先日このStudio9で、カセットテープの音が良い音で聴けた。テープ再生が実に奥が深い。あえてカーステでもテープばかりを聴いているような人に向いてる(あまりいないと思うけど)。CDの再生が鮮明なスピーカーではテープの音はノイズが目立つし深みが抜けている。でもロジャースのこのStudio9ではテープのふっとりした生音も、同傾向の強みで実体化される。
組み合わせるアンプとしては、デジタルアンプでも綺麗に鳴るけど、音素の間隙に在るもの(エアー)に成し遂げられた、このぽんわり感は、さっぱりクリアーに損なわれることでしょう。LED電球のようなはっきりとした音よりは電球のようにコントラストと色域の広いアンプがいいのかな。